イベントご参加御礼 7月13日スキンケアと井戸掘りWS

こんにちは、小川彩です。
先月になりますが、7月13日(土)に千葉・土気山ダーチャフィールドで、地球守イベントを開催しました。今回は、講師お二人を招いたふたつのワークショップと、土気山ダーチャフィールドの見学という、盛りだくさんのスケジュールでした。久しぶりの開催でしたが、スタッフやお子さんのご参加も含めまして総勢60名以上の方にお集まりいただきました。梅雨のぐずついたお天気の中、ご参加くださいましたみなさま、お手伝いや片付けにご協力くださいましたみなさま、ほんとうにありがとうございます。

スキンケアの講師は、保健師・看護師のお仕事とともにアロマアドバイザーやインストラクターとして活躍しながら、野の草花を使って日常のコスメづくりのWSを主催している萩倉志保さん。井戸掘りの講師は西田稔さん。長年トンネル掘削専門の会社を経営したご経験と、東日本大震災時に生きるための水を確保することの大切さを強く感じたことから、井戸掘りの方法を各地で広めていらっしゃいます。

ダーチャの中でスキンケアアイテムづくりの説明をする萩倉さん(左)。右奥は、アシスタントとしてサポートする青木朋子さん。

萩倉さんは生活日用品を、身の回りのハーブや野草などでつくることをきっかけに、使い終わった化粧品やスキンケアアイテムが、自然へと還る先のことまで考えて欲しいという思いを持って、現在の活動をされています。今回は虫除けスプレー、日焼け止めクリーム、女性向けにコンシーラーへの応用を教えてくださいました。高田さんはじめ、庭師の男性の参加者も多かったことから、虫除けスプレーは男女問わずみなさん興味津々! 特にエッセンシャルオイルの香りに癒されていた男性の姿が印象に残りました。
「もともと化粧とは、目元や口元など、身体に魔が入りやすい場所に魔除けを目的として装飾するだけではなく、宇宙とつながるためのもの」という萩倉さんの話に、特に女性の参加者のみなさんは興味も質問も尽きない様子でした。

道具はコンロのみ。エッセンシャルオイルなど、さまざまなアイテムをシンプルに混ぜ合わせたり、加熱したりしてスキンケアアイテムをつくります。
男性も楽しそう。虫除けスプレーは香りの良いエッセンシャルオイル入りなので、旅先に持参して、お布団などに噴霧しても良いとのこと。
女性の参加者の方から、さまざまな質問が寄せられました。

萩倉さんはこの日の様子だけでなく、3種類のスキンケアアイテムのレシピもブログでご紹介してくだっています。またご質問のあった手作りコスメレシピや材料のリンクなども掲載してくださっています。ぜひご参考になさってください。

自作の道具を使って井戸掘りの指導をしてくださった西田さん(右)。

西田さんの井戸掘りの方法は、男性・女性関係なく、家族や地域で少人数で、ちょっとした工夫と身の回りの道具で井戸を掘れるように考案したもの。まず4メートルの鋼管パイプを、ひと回り太い鋼管製杭打ち具「パイプハンマー」15kgの自重で垂直に地面に埋めていきます。次にパイプハンマーのストローク分だけ地上に残った鋼管パイプに、鉄筋を溶接してつくった“西田式”の道具と、ホームセンターで手に入るレバーブロックのチェーンを噛み付くように絡ませ、まるでワインのコルクを抜くように、垂直に鋼管パイプを引き抜きます。この鋼管パイプの長さを次第に長くしていき、井戸の穴を深くしていきます。引き抜いたパイプの中にある土の具合から、粘土層の下の地下水の層へとたどり着いたかどうかを判断します。
地下水の水脈にたどり着いたら、無数の穴を開けた井戸用を穴の底まで打ち込み、先にホースをつないで呼び水を流し、まるでストローのように動力で水を吸い上げます。

西田さんが設計した杭打ち鋼管を鋼管パイプにかぶせ、直立させる。
杭打ちするようにパイプハンマーを二人がかりで持ち上げて落とす。その重みで鋼管パイプが地面にめり込んでいく。
鉄筋を溶接した西田さん自作の道具とレバーロックのチェーンを、地上に1メートル頭が出ている鋼管パイプに設置。ハンドルを回して塩ビパイプを垂直に地面から抜いていく。
左から傾斜地、幅の狭い平坦な道、右が用水路。

今回ダーチャフィールドでは、谷へと下って用水路と平行に走る、平坦な道の上に掘ることにしました。河岸段丘のキワに当たる場所でしたが、谷戸に堆積した砂質土が固化して砂岩と化した土地のためか、今回6メートル近い鋼管パイプで5メートル掘り下げ、地下水の水脈にたどり着けました。

穴を開けた塩ビパイプを掘削した穴に落とし込み、動力で水を汲み出すため、ホースを設置。
大地に涵養された水が染み出し、掘削した穴に集まってきた水が汲み出されました。
水が表土を流れないよう、すかさず大地に溝を掘る高田さん。

しかしながらダーチャの環境改善のおかげか、地下を走る水が染み出し、それが掘り下げた井戸から汲み上げられることを確認できました。

トンネル工事をしてきた西田さんですが、地形などから人力で井戸を掘れる土地を見極めてきました。この2年間だけで全国10カ所程度で井戸掘りの指導をしてきたそうです。西田さんが参加者に声をかけていたことで印象的だったのは「少しでも体験してください。井戸掘り作業で一番難しいパイプにチェーンを噛ませることができたかどうか。その感覚を覚えて欲しい」という言葉をはじめ、作業の体感を得て欲しいということ。知識だけでなく、道具を使いこなし、ご自身の土地で掘る時にその感覚を思い出してほしい、という渾身の思いを参加者に伝えてくださいました。
ちなみに、西田式の道具は、土気山ダーチャで保管させていただいています。地球守の共有財産として、今後活用させていただく予定です。

ダーチャフィールドの環境改善の要である谷筋について、高田さんから熱のこもった説明がありました。
ダーチャに建てられた石場建ての小屋。木々に囲まれて心地よい風が抜けます。ワークショップを開催する会場になりました。

最後に、地球守・代表の高田宏臣さんから、ダーチャフィールドの再生のプロセスの話を聴きました。千葉の住宅造成地だった里山の一角を再生し始めてから、今年で4〜5年が経ちました。当初は篠竹の藪が広がり、カチコチに硬くなっていた大地でしたが、フィールドのあちこちにポット苗で育てた木々を植樹してマウンドをつくり、大地の中で水が動くよう、谷へと流れるよう導きました。大地の呼吸の要となる谷も、当初は自転車や粗大ゴミが不法投棄されて荒れていた場所。そこが呼吸できるよう、1メートル近い穴を掘っては炭を埋めたり、穴を掘った泥とワラ・枝粗朶などをサンドイッチする改善作業などを繰り返したそうです。
最初はジメッとして嫌な匂いがしていた谷でしたが、フィールド全体の改善と、谷に手を入れてきたおかげで、年々大地が健全な呼吸をしはじめ、今や湧き水が流れる音が聞こえるようになりました。自然と対話をしながら、森に手を入れていくこと。私は2017年から縁あって、高田さんのダーチャやお仕事をお訪ねする機会をいただいていますが、ここダーチャが月日とともに心地よく、樹々も土も水も育っていることを実感します。
今回、フィールドの木々や微生物たちが導いた「水道(みずみち)」を通り、涵養された水の流れる小さな音に、生き物を生かしてくれる自然の力の強さと、なんとも言えない美しい響きを感じました。

地球守・代表理事の高田さん。水を掘る方法だけでなく、水を育てる森への意識、自然への感覚を養ってほしい、と参加者にメッセージを送りました。

高田さんが「各自が自分の水源をつくることを学び、知ること。ご自身のフィールドでそれを行い、自然への感覚を養って欲しい。水をより良いものにするためには森や自然との対話をすることを忘れないでいただきたい。水を得る方法だけでなく、水をいただくことに対して自然に許してもらう状況をつくることが大切です。土地を育て、水を育てていきましょう」と結んだ言葉が心に残ります。

ダーチャでのイベント時には、フィールドを整えたり、食事を準備したりと、高田さんのスタッフ、元スタッフ、そしてボランティアのみなさんが協力してくれます。
子どもさんや犬たちも、楽しそうにフィールドを健やかに、安心して駆け回っていました。この環境はかけがえのないものです。
今回のイベントでは初参加の方も多数。さまざまなつながりが新たに生まれた1日でした。

限りある時間の中、自然に親しみ、生き抜く智恵と技術を惜しみなく披露してくださった萩倉さん、西田さん、どうもありがとうございます。
そして高田さんとスタッフのみなさま。1日に60名以上の人が歩くことを想定し、千葉・竹炭研究会の竹炭を100kg事前にフィールドに撒き、発酵酵素水を噴霧しておくなど、大地がいたまないよう事前準備をしてくだっていたこと、重ねて感謝申し上げます。

次回の土気山ダーチャでのワークショップは、少々先ですが10月を予定しています。今年の冬に仕込んでひと夏越したお味噌を袋詰めします。もちろんそれだけではなく、味噌を貯蔵するための横穴を掘って、横穴貯蔵庫をつくります。環境改善によって大地の力を取り戻してきた土気山ダーチャフィールドで、かつて保存食や作物を保存していた自然の貯蔵庫の智恵についてみなさんで学びましょう。
告知はフェイスブックやこちらのブログでお知らせいたします。