MESSAGE

2011年に発生した東日本大震災は、多くの方にとって、価値観や生き方を変えるきっかけとなったようです。大いなる自然の営みの中に人が生きるということはどういうことか、ここまで積み重ねてきた文明の在り方を、何か見直す必要があるのではないか。そんなことをこの震災を機に多くの人が考えさせられたのではないかと思います。
私自身、震災をきっかけに本業の造園設計施工から、徐々に自然環境の再生とその技法や視点の普及に軸足を移していきました。

私たちは、自然環境の息吹や変化について、あまりにも鈍感になってしまいました。子どもたちは体感として本来の自然を知らずに育ち、大人たちも自らを生かしてくれる水や空気、そして命の循環に残念ながら気づかないし、関心も寄せなくなりました。それが現代を生きるほとんどの人の、日常です。このことは日本だけでなく、世界中に共通することなのでしょう。


いま、これまでに経験したことのない規模とスピードで環境の荒廃は進み、気候変動、大規模災害の日常化などという形で、多くの人が肌身で感じ取れるまでに問題は膨らんでしまいました。私たち人間の存在が、地球にとってどんな役割を担ってきたのか。そんなことを再び問い直す必要があるように思います。

先人の智慧、視点、技術の奥に潜む自然環境への深遠な理解、自然環境をより豊かに育み、繋いできたからこそ、今の人間の営みがあります。特にかつての暮らしの環境造作には、現代の私たちの想像の及ばぬほど深い意味があることに注目すべきでしょう。その土地に暮らしながら生態系を養いうる、自然環境の潜在力を高めうる、そんな暮らし方を古来継続してきたのですから。

忘れられつつあれども、これからの地球を救うほどの素晴らしい智恵を掘り起こし、いまに活かしつつ、その素晴らしい視点と暮らしの技を世界に伝えていきたい。同時に自然環境との向き合い方、その豊かさを再生する技術を日々実証し、伝え、いのちの連鎖によって成り立つ自然の仕組みについて、本当のことを理解してほしい。震災以降、そんな願いを込めてさまざまな活動をしてきました。
この環境活動の幅を広げるべく、2016年12月に特定非営利活動法人(NPO) 地球守を設立しました。そして「生態系を養いうる自然環境のポテンシャル」の視点をもって、環境講座や環境改善指導、環境診断、環境調査を全国各地で行っています。世界の暮らしや社会の環境造作に活かしていただけるよう、これからもさまざまな方法で活動や学びの場を発信していきたいと思います

代表理事 高田宏臣(たかだ・ひろおみ)

高田造園設計事務所代表。1969年千葉県生まれ。東京農工大学農学部林学科卒業。97年に独立、2007年高田造園設計事務所設立。造園の設計施工を行うほか、自治体や団体からの依頼で土木造作による環境改善、環境再生を行い、その活動は国内外で注目を集めている。特定非営利(NPO)法人ダーチャサポート理事、特定非営利活動法人(NPO) 地球守代表理事。著書に『これからの雑木の庭』(主婦の友社)など。
高田造園設計事務所
http://www.takadazouen.com