東京・恩方の森ワークショップ 参加者様レポート

2月11日(月・祝日)に東京・高尾、恩方の森で開催されました、森と踊る様主催のイベント、「森や住まいの、水と空気の健全な循環による環境改善・再生の実践的な学び」に、地球守・代表理事の高田宏臣が講師としてお招きいただきました。代表の三木一弥さん、大変お世話になりました!

今回もご参加いただきましたcitron et citoronの来島由美さんにレポートしていただきました。以下、来島さんのレポートです。来島さん、いつも自然への優しい目線と感性豊かなコメントをいただきありがとうございます。

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森の中には情報がいっぱいでした。
現代社会の情報とは異なる心地よい情報です、

恩方の森にもやはり大木(マザーツリー)があり、辺り一帯の樹々や大地の状態を菌糸を通じて把握しているそうです。
樹々はお互いの存在を活かし合い、それが全体の均衡が保てるような働きをしています。
生と死は繋がっている、むしろ同じなことなのかしら…と思えてきました。

恩方の森のマザーツリー。photo / Yumi Kurushima. 以下すべて同

幼いころ、怖い森は、白雪姫がお妃さまから逃げるときに駆け抜けるあの暗くて硬いイメージでした。昼間なのに光が届かない森……

気持ちよい森は、程よく湿り気があって、春はいろんな植物が芽吹き、かわいらしい草花。秋はふかふかの土と落ち葉や実物。小枝を井形に組んで火遊びをしたり。そよそよ風がほどよく抜けて、風向きが変わると、冷たさや匂いも変わる、そんな森。ずっと遊んでいられる森です。

いま大人になってこうして森しごとに行くことで、実はもっと怖い森があるとわかってきました。暗くもないし樹々もある、でも実は本来の力を失いつつある森。

森への入り口で、干し草のようなイネ科のわらを、伸びすぎた分だけ優しく刈り取ります。谷側に焼杭?を打ち、枝をからませてしがらみを作り、隙間に藁や落ち葉などの有機物を詰める。所々に深く穴を掘り、水の動きを誘導します。

藁の刈り取り。

高田さんが森の空気や水の流れの詰まりを、その地形や表土の乾き具合、苔の種類や潤い方など、森の情報から読み解き教えてくれました。


焼杭を使う意味、等高線に添ってお茶の樹は植えられていた意味、地形のへりの溝、埋炭の意味、ほかにもいろいろなワークを通してのたくさんのレクチャーは抱えきれないおみやげになりました。
炭は有機物を分解する際、重要な仕事をします。ないとだめか?というものではないそうですが、与え続けなければならない肥料より、土が土らしくなる手助けをします。

土中への視点が備わるのも高田さんのワークショップの魅力。白い菌糸を確認。

草木を刈るときにも、根っこへの影響もわかっていると森しごとは楽しいです。
自分が歩いた道のうしろが潤って豊かになっていくイメージがもてました。

茶道においてもその所作のひとつひとつに意味があるように、きっと森に入るときにも、どこに自分の足をおいて造作するとか、カマの角度とか、身についたら美しい所作になっていくのかもしれない。

自分が気持ちよく感じることが、自然にとっても気持ちの良いことなら…私にとって本望です。

ー2019.2.11 恩方の森にてー